* 冷えの原因


一口に、“冷え”と言っても、人によって、感じ方や捉え方は違うと思います。

例えば、手足が冷たい、腰が冷えるなど、体のどこかが、冷たいと感じることは、“冷え”であり、実際に血行も悪くなっている状態と言えます。

しかし、実は、自分で、“冷たい!”と感じなくても、常に“冷え”は、体の中で起こっています。

この“冷え”によって、本来は、誰にも備わっている病気の治癒力など様々な能力が充分に働かない状態になっています。


もともとある冷え

人類が立って歩くようになったことで、脳の量が増えても体を支えることができるようになりました。

これにより、知能が格段に高まったのですが、これと引き換えに、体全体の血液循環が悪くなりました。

つまり、人類が地面を這って暮らしていた頃と比べて、直立歩行になったことで、足先に送られて行った血液を再び心臓まで戻すということがとても難しい事態になったということです。

そして、血液を循環させるために、心臓に負担がかかっているだけでなく、全身の血液循環も悪くなっているということになります。

 

これが、“誰でも、足もとは冷えている!”原因です。

そのため、すべての内蔵が充分に活動が出来ないという状態が常に起こっているわけです。

“冷え”は、人類共通の弱点といえます。これを補い、助ける方法が「頭寒足熱」です。


食べ過ぎによる冷え

毎日食べている物の中で、体に必要な量は吸収されますが、それ以外の余った分は、体の中に、“毒”となって溜まるか、外に排出されます。
これは、体にどれほど良い食べ物であっても、摂りすぎれば同じ結果になります。
ですから、健康のためと思って、色々食べることは良くありません。
このような食べ過ぎが続いた場合、コレステロールなどとなった毒が溜まってきて、目に見える形では、体重の増加ということが起きてきます。これは実感としてもわかりやすいことだと思います。

食べ過ぎによる毒が増えていった場合、毒は血管の中や内蔵の中など様々なところに溜まり、血流を邪魔します。


しかし、一方で、たくさん食べても太らないなど、目に見えない形であっても、実は食べ過ぎの毒が溜まっていることもあります。
例えば、胃腸の疲労という形で、じわじわと進行している場合があります。
そして、胃腸の働きの低下などによる貧血なども起きて、体全体の血液循環は、一層悪くなっていきます。

これらは、どちらも食べ過ぎによる“冷え”の状態です。

ですから、食べ過ぎをしているかどうかの判断は、太っているとか、痩せているとかという体型だけではあまり決められません。


感情の乱れによる冷え

感情や気持ちは体の状態と深く関係しています。
例えば、腹が立って怒りが爆発したり、悲しみにくれている時、また、くよくよと思い悩んでいる時など、脳はこれらの感情でパニック状態になっていると思います。
そして、これを解消するために大量の血液が頭の中を駆け巡っています。
この状態を“頭に血が上る(上っている)”という言い方もします。
これによって、体全体の血液循環は徐々に悪くなっていきます。
血液は、頭の方にばかり流れていっているため、その結果、足もとの方へは流れ難くなってくるからです。
例えば、ひどく怒った時に、足もとがガクガクと冷えたという経験をされた方もあると思います。
つまり、感情の乱れによる“冷え(血液循環の滞り)”が起きているということです。

病気の原因で、最も大きいものが、この“感情の乱れによる冷え”です。
感情が乱れるもとは、自分の性格や考え方にあります。
これを少しずつ直していかない限り、気持ちを乱して病気の原因を溜めていくことになります。本当に厳しく、難しいことですね。